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タケヤマアトリエ について

設計事務所の主宰者が気になることを綴ります。 一級建築士事務所タケヤマアトリエ+ ホームページ http://www.ta-arch.net

高齢者の住まいと生活資金

市中銀行のいくつかで「リバース・モーゲージ・ローン」の取り扱いが始まっています。

リバース・モーゲージ とは、主に高齢者が、自分の住んでいる住宅の建っている”土地”を担保にして、金融機関から借り入れ(生活費や住宅改修費など)をして、死亡した(もしくは転居)時点で、”土地”を売却して、その売却益で借り入れを返済する仕組みのことです。

自前の土地を、資本の山と見立てると、少しづつ(表現は悪いですが)崩していって、最後には平場(零)になる。

すっきりして永遠の眠りにつけることや、高齢になってからの定期的な(見かけの)収入になること。また、借り入れ金の用途を、耐震改修やバリアフリー化の工事費に充てることで、安心して老後を過ごせる住まいにすることなども出来ます。

公的なものとしては、平成14年度に厚生労働省によって創設された「生活福祉資金(長期生活支援資金)」があります。(窓口は市区町村の社会福祉協議会)

また、市中銀行では、みずほ銀行サンの「みずほプライムエイジ」、三井住友信託銀行サンの「リバースモーゲージ」などが出てきています。

「生活福祉資金」は、その名のとおりに福祉的側面が強いため、貸付限度額が土地評価額の70%であったり、担保になる土地の最低評価額も比較的小さめですが、市中銀行のメニューでは、その辺りの取扱いはシビア、というか、サービスを利用するときのハードルは高く設定されており、つまりは裕福な人たちに限られています。 とは言え、「生活福祉資金」も全ての高齢者が利用できるものではなくて、働き盛りの頃には、いわゆる中流より上だった世帯に限って利用できるのではないでしょうか。

リバース・モーゲージ だけでなくて、他の仕組みと組み合わせることで、もっと弾力的で広く(多くの高齢者が)利用できるようになればいいのにと思うのです。

 

さて、

日本で、リバース・モーゲージの考え方をいち早く取り入れたのは、東京都武蔵野市。 こちらでは、居住者と市の福祉公社との契約で、福祉資金サービスの利用金額(生活費、医療費、住宅改良費など)を市が融資しています。資金の使用目的が限られるとは言え、高齢者にとって本当に必要なお金はこれより他にはありませんよね。しかも担保物件としては、土地のほかに建物やマンション(築年数の限定あり)を供することが許されています。

高齢者にやさしいマチ、武蔵野市。全国の市区町村が見習ってほしい施策です。

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建築物の耐震 その2

ほとんどの自治体では、住宅の耐震性を高める工事の工事費の一部に補助を出してくれていますが、今は3月も後半、今年度分の予算は使い切ったところでしょうね。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)から、今年(2014)の3月5日付けで、「耐震診断依頼者の年齢と住宅の築年数と耐震性」といった内容の報告が届きました。

主なトピックは以下のとおり。

・耐震診断依頼者の4人に3人は60歳以上
・(住宅の耐震性が低くても)補強工事を実施しない、或いはできない高齢者が多い
・耐震診断を行った住宅の9割以上が現行の基準を満たしていない
(報告は公開されています http://www.mokutaikyo.com/data/201403/201403.pdf)
耐震診断を依頼される方の年齢が上がると、住宅の築年数はそれに比例して長くなっているようですね。

依頼者が30〜40代の時に家を建てたとしたら、それから住み続けて約30年、自分の老後の住まいとして安全かどうか心配になる頃です。

昭和56年に建築基準が見直されたので、その前に建ってたとしたら、殆どが現行の耐震基準を満たしていません(※耐震性は平面形状等に大きく左右しますから直ちに危険だとは言えませんが)
一方では、これからの人生のため蓄えがなくてはいけないので、地震も怖いけど、おいそれと高額の工事費を払うという訳にはいかない。

自治体の補助制度の多くは、全国一律の耐震診断方法で、その診断結果に基づいて耐震改修工事をして住宅全体で耐震性を高めないと、工事費の補助を受けられないことになっています。
ですから、地震が心配で耐震診断はしたけど、安全性を高める方法は限られている(本格的な耐震改修工事)ために、具体的な対策をしていない住宅が多く、それが報告書の結果にも表れています。
やがては高齢になり、住まいの中で過ごす時間が増えてくるのですから、滞留時間の長くなる寝室などだけでも、シェルターなどで局部の対策をすることが出来れば、地震の際の危険性はグッと下がるはずなのですが。

地震の際に家が倒れて道路がふさがれると避難や救援の障害になります。そういう面(都市防災)からは、建物全体の耐震性を高めることになりますが、なにより一人ひとりの命を救うことが、もっと大事なこと。
住まい手が自分の出来る範囲で、今より安心できる住まいを得られるよう、国や自治体には、耐震だけでなく、”対”震のいくつかの選択肢を示していただきたいと思います。

京都 空き家の活用 その1

2014年(平成26年)4月から、「京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例」が施行されます。
振り返ってみれば、平成20年時点で、京都市内にある”空き家”は11万戸、全体のおよそ14%を占めていました。それ以降、官民を問わず、様々な取組みがみられました。
例えば、株式会社八清による老朽京町家の買取りとリノベーションそして再販の取組み (http://www.hachise.jp/buy/list-kyomachiya.html)、町家倶楽部による所有者と使用希望者とのマッチング事業(http://www.machiya.or.jp)、まちぐらし集団CHOBOによるセルフリノベーションの支援(http://chobo.nobody.jp/index.html)など。
もちろん、これは多くの果敢な活動のごく一部でしょう。

 

 

さて、
歴史都市にあっては、その家並み/街並みの保存と継承のために、うまく不動産を「シェア」できる仕組みがないといけません。 
不動産運用の方法というような捉え方ではなくて、歴史的都市の特性(得性)を生かした「シェア」のあり方ですね。
”古都京都”なんていう表現は、それこそ長い歴史の中の、ごく最近に生まれた。
明治から大正の時代には、古臭くて湿っぽい町家なんて全部ぶっ壊せ!というのが、当時のエラい都市計画家の勧めでしたからね。
(エラい人のことを聞くのは適当にしておかないとイケナイという教訓でございます。)
つまり歴史都市という考え方は、ここ日本では、少し前までなかった。
だから、それをどのようすれば残せるのかという(日本的な)方法論は、残念ながら積上げられてこなかったのです。

 

一方では、コトバとして「シェア」だけが独り歩きしている状況にチョット待てをして、
「シェア」の前提になる「コモン」という考え方とセットにして、それを捉えてみたいです。
都市そのものが、細分化されて個人所有されている国で、「コモン」というのは、そぐわないし、場合によっては、相容れないこともありますが、本来的な「シェア」のあり方を知ることが、より良い仕組みを考える助けになりそうです。

建築物の耐震 その1

東南海のプレートに起因するものや、首都東京の沿岸の直下で起こるものなど、いくつかの地震が予想されています。地震の発生を予測することは、多くの科学者たち のみならず、僕たちの夢ですが、高い確率でそれを予測する技術や方法は、未だ手の届かないところにあると言えるでしょう。

地震は避けられないが、震災は避けられる」

かつて関東大震災の発生を予言した今村明恒教授のコトバは、現代の過密化した都市にこそ、力をもって訴えかけます。

地震が起こった時のことをイメージしてみて、自分の家や会社や街が、どうなるのか?そうなった時に、自分の手の中にあるべきものは何なのでしょう。

国や地方自治体は、もちろん建物の耐震化に総力をあげています。

・もしも大きな地震が起こって、沢山の人が止むなく家々を捨て、避難することになった時に、しっかりと受け止めることができて安心できる寝床を提供できるような堅強な建物は、わが街に有るのか?

・沢山の人たちが一時に集まっている、病院や学校や映画館などで、もしも地震が起きたらどうなるのか?

こういう大きな課題には、これまでも積極的に対応されていて、例えば小中高校では、公立校の約85%、私立校の約80%の校舎が、耐震化(耐震改修工事などの結果)を完了しているという状況です。;H25.4月調べ

いわゆる新耐震以前(昭和56年以前)に建設された校舎が、全体数のおよぞ4割程度を占めていることを思えば、ここまで耐震化が進んでいることは、”大変良く出来ました”と言ってもいいくらいかも知れません。

むろん、更なる耐震化を声高に叫ぶ必要はあります。

一方、民間の建物については、国や行政が直接に関わることは出来ませんが、病院などの特定の用途で一定規模以上の床面積をもった建物は、法律で耐震化を進めるように義務付けされました。建物の所有者さんにとっては、大きな負担になることですが、多くの方々のかけがえのない命を預かっているということですから、積極的に改修をお願いしたいものですね。

それらの公共性の高い建物に比べると、一般の戸建て住宅などは、耐震上の問題を抱えるものが少なくありません。また、それらの危うい住宅が、隣り合い、寄り添って出来上がっている街は、個々の住宅の危うさの「足し算」ではなく「掛け算」で、地震が起こった時の「危なさ」がやってくると考えた方が良いでしょう。

・天井まで一杯に積み上がった本の山を、横にみながら寝ている私の毎日は?

・大地震の時には持ちこたえてくれたけれども、あれから15年経って家も少々くたびれてきた?

・我が家から、広域避難場所までのルートは、地震の後も安全に逃げられる本当のルートなのか?

まっさらな目で、改めてご自身の生活やご自宅の姿を捉えてみる。

まずは、自らが罹災者にならないこと、加えて、家族や隣人をそうさせないこと。これは簡単なことではありませんが、今できることを重ねていって、少しでもその地点に近づけていくことが肝要です。

擁壁 その2

平坦な土地にくらべて、傾斜している土地は、地震や水(大雨が原因)の影響を受けやすいでしょう。
“元々は傾斜地だったところに、擁壁を設けて土地を平らにして、その上に家を建てた” というような場合は、特に注意が必要です。

その1」で書きましたが、造成工事の際に切土をしたか、それとも盛土だったのかで、安全性のポテンシャルはずいぶんと違ってきます。
その敷地だけを見ていたのでは、元の地形を想像するのは難しいですね。少し離れてみて、敷地の回りの土地と自分の土地の位置や高低差を簡単な絵にしてみる。

斜面段々

段々のデッパリとヒッコミを相殺するように曲線(オレンジの線)を描いてみると、削ったかも、とか、盛ったかも、というのが おぼろげながら見えてきそうです。

あと、忘れてはいけないのは、段々を支えている擁壁がシッカリしているかどうかのチェックです。

一財)大阪建築防災センターのHPには、一般の方でも分かる(?)チェックシートがありますので、排水の状況や劣化度などを基にした「宅地の安全度」を確認できます。

http://www.okbc.or.jp/proof/takuchi.html

まず、お住まいの廻りの擁壁が、どんなタイプなのかを確認します。
擁壁色々
昭和30〜50年代に造成された当時の新興住宅地では、外側がブロック状になっている右上のものが多くみられます。いま一番問題になりそうなのは このタイプで、上のチェックシートはこのブロックタイプのチェックに適したものです。
近頃の宅地開発では、ほとんどが左上のようなタイプだと思います。図は逆T型タイプ、似たものとして逆Lタイプがあります。
左下は、コンクリートを現場で形成してつくる重量式。左上と外観は見分けがつきませんが、頂点のコンクリートの幅が広いかどうかで判断します。
右下は丸い大きな川石を積み上げてつくるタイプ。高さ1m程度の小規模なものは、昭和40年代くらいまではよく見られました。こちらのタイプも造成後にずいぶんと年月が経っているので、注意が必要です。
(図版は、国交省の”我が家の擁壁チェックシート(案”から引用しています。図中の着色した部分は擁壁本体の断面、それより左が外から見た姿になります)

チェックシートで、十分な安全性のチェックができるとは思えません。
現状に問題がないかどうかをチェックして、必要に応じて行政やデベロッパーあるいは専門家へご相談される、そんなキッカケのためのものだとお考えください。

高度経済成長の時期を境にして、無骨な擁壁が沢山つくられてきて、近年になってようやく環境配慮型というか景観を損なわない意匠の擁壁が増えてきました。
英語圏では、擁壁のことを、retaining wall と呼びますが、「擁壁」と「retaining wall」で画像検索したときに、でてくる画像の質の違いに、僕たちと西欧のみなさんとの景観への意識の違いを感じてしまうのでした。
お時間があったら、一度ためしてみてください!

擁壁 その1

画像

 

 

たいていのお住いは、フラットな地面の上に建っていますね。

そして、その地面は、大昔から広い平地だったところもあれば、斜面を造成して人工的にフラットにしたところもあります。

「山の手」とか「山手」というような呼び方をされるところや、地名に山とか高とかの字が入っている地域は、傾斜地だった可能性が高いですね。

建物を建てるのに都合が良いので、(色々な長さの柱が要るようになったりするから、、)まず地面を平たくします。

平たくしようとしている地形が山だったり斜面の時は、上の3つの絵の一番上のように、元の斜面の上に、土を盛り上げて(これを盛土=モリドといいます)平たくする方法と、一番下のように、土を削って平たくする方法(これを切土=キリドといいます)、それらをミックスした方法があります。

絵を見ただけでも、上(盛土)より下(切土)の方が丈夫そうな感じがしますね。実際にもその見た感じの通りです。

上の方法で造成するなら、段差が1m以上で擁壁をつくらないといけないし、下の方法なら段差が2mまでなら擁壁はつくらなくていいのです。(もちろん、建物と斜面との関係などで、つくった方が良い場合もあります)

つまり、下(切土)は上(盛土)よりも、安全性が高いのです。

 

 

では、斜面を造成して、宅地にして販売しているデベロッパーの皆さんは、安全性の高い方法で造成しているのか??

たいていの場合はノーですね。

土を他から持ってきて盛り上げるよりも、削ってドコかに捨てに行く方が、ずっとお金がかかるからです。

経済性を考えれば(消費者に安価に土地を提供できるという側面の経済性もあります)もちろんのこと、収益性や造成工事のし易さを考えれば考えるほど、盛土になってしまう訳です。

 

どうして結露は起こるのか

suijyouki

(上の図は、住宅省エネルギー設計技術者講習会のテキストの中の画像を引用しました。

とても分かりやすい表現になっていますので、パクってきました。)

中段に「飽和水蒸気量」の文字が書いてあって、その上に3種類のコップの絵があります。

上の段の一番左は、目一杯に水分をふくんだ室温6度の空気(1m3) の中にある水分の量です。

真ん中は、室温8.7度。一番右は、室温20度。

それぞれの温度でコップの大きさが違います。

一番左より真ん中がチョット大きくて、一番右は真ん中の2倍の大きさ。

つまり、8.7度の2倍の大きさのコップの分だけ、水分をたくわえることが出来ます。

温度が高いほど水分を沢山ふくめるのは、ちょうど、水に溶けにくい砂糖がお湯にはスグ溶けるのをイメージしてもらえば分かりやすいでしょうか。

さて、下の段の一番右は、室温20度で湿度50%の時に、部屋の空気1m3の中にふくんでいる水分の量です。もし湿度100%だったら上の段の右の図のようにコップが満杯になるのですが、50%だからコップの半分です。

この部屋の温度をどんどん下げていくとどうなるか?

まず8.7度まで下げる。

右のコップの中の水を、真ん中のコップに移してみましょう。

満杯です、湿度100%。ギリギリセーフ。

では6度まで下げると…

真ん中のコップの中の水を、一番左に移してみましょう。

満杯、、そして、あふれ出しました。ジョビジョバ。

この、あふれ出した水が、僕たちの言う結露(水)です。

まとめると

水分を含んだ空気が、冷たい物の近くに行った時、その影響で空気の温度が下げられて、水分を含みきれなくなる。そして、空気から放り出された水分は、空中に浮かんでいる訳にもいかないから、近くの物にベッタリと貼り付く。これが結露の仕組みなのです。