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建築物の耐震 その2

ほとんどの自治体では、住宅の耐震性を高める工事の工事費の一部に補助を出してくれていますが、今は3月も後半、今年度分の予算は使い切ったところでしょうね。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)から、今年(2014)の3月5日付けで、「耐震診断依頼者の年齢と住宅の築年数と耐震性」といった内容の報告が届きました。

主なトピックは以下のとおり。

・耐震診断依頼者の4人に3人は60歳以上
・(住宅の耐震性が低くても)補強工事を実施しない、或いはできない高齢者が多い
・耐震診断を行った住宅の9割以上が現行の基準を満たしていない
(報告は公開されています http://www.mokutaikyo.com/data/201403/201403.pdf)
耐震診断を依頼される方の年齢が上がると、住宅の築年数はそれに比例して長くなっているようですね。

依頼者が30〜40代の時に家を建てたとしたら、それから住み続けて約30年、自分の老後の住まいとして安全かどうか心配になる頃です。

昭和56年に建築基準が見直されたので、その前に建ってたとしたら、殆どが現行の耐震基準を満たしていません(※耐震性は平面形状等に大きく左右しますから直ちに危険だとは言えませんが)
一方では、これからの人生のため蓄えがなくてはいけないので、地震も怖いけど、おいそれと高額の工事費を払うという訳にはいかない。

自治体の補助制度の多くは、全国一律の耐震診断方法で、その診断結果に基づいて耐震改修工事をして住宅全体で耐震性を高めないと、工事費の補助を受けられないことになっています。
ですから、地震が心配で耐震診断はしたけど、安全性を高める方法は限られている(本格的な耐震改修工事)ために、具体的な対策をしていない住宅が多く、それが報告書の結果にも表れています。
やがては高齢になり、住まいの中で過ごす時間が増えてくるのですから、滞留時間の長くなる寝室などだけでも、シェルターなどで局部の対策をすることが出来れば、地震の際の危険性はグッと下がるはずなのですが。

地震の際に家が倒れて道路がふさがれると避難や救援の障害になります。そういう面(都市防災)からは、建物全体の耐震性を高めることになりますが、なにより一人ひとりの命を救うことが、もっと大事なこと。
住まい手が自分の出来る範囲で、今より安心できる住まいを得られるよう、国や自治体には、耐震だけでなく、”対”震のいくつかの選択肢を示していただきたいと思います。

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建築物の耐震 その1

東南海のプレートに起因するものや、首都東京の沿岸の直下で起こるものなど、いくつかの地震が予想されています。地震の発生を予測することは、多くの科学者たち のみならず、僕たちの夢ですが、高い確率でそれを予測する技術や方法は、未だ手の届かないところにあると言えるでしょう。

地震は避けられないが、震災は避けられる」

かつて関東大震災の発生を予言した今村明恒教授のコトバは、現代の過密化した都市にこそ、力をもって訴えかけます。

地震が起こった時のことをイメージしてみて、自分の家や会社や街が、どうなるのか?そうなった時に、自分の手の中にあるべきものは何なのでしょう。

国や地方自治体は、もちろん建物の耐震化に総力をあげています。

・もしも大きな地震が起こって、沢山の人が止むなく家々を捨て、避難することになった時に、しっかりと受け止めることができて安心できる寝床を提供できるような堅強な建物は、わが街に有るのか?

・沢山の人たちが一時に集まっている、病院や学校や映画館などで、もしも地震が起きたらどうなるのか?

こういう大きな課題には、これまでも積極的に対応されていて、例えば小中高校では、公立校の約85%、私立校の約80%の校舎が、耐震化(耐震改修工事などの結果)を完了しているという状況です。;H25.4月調べ

いわゆる新耐震以前(昭和56年以前)に建設された校舎が、全体数のおよぞ4割程度を占めていることを思えば、ここまで耐震化が進んでいることは、”大変良く出来ました”と言ってもいいくらいかも知れません。

むろん、更なる耐震化を声高に叫ぶ必要はあります。

一方、民間の建物については、国や行政が直接に関わることは出来ませんが、病院などの特定の用途で一定規模以上の床面積をもった建物は、法律で耐震化を進めるように義務付けされました。建物の所有者さんにとっては、大きな負担になることですが、多くの方々のかけがえのない命を預かっているということですから、積極的に改修をお願いしたいものですね。

それらの公共性の高い建物に比べると、一般の戸建て住宅などは、耐震上の問題を抱えるものが少なくありません。また、それらの危うい住宅が、隣り合い、寄り添って出来上がっている街は、個々の住宅の危うさの「足し算」ではなく「掛け算」で、地震が起こった時の「危なさ」がやってくると考えた方が良いでしょう。

・天井まで一杯に積み上がった本の山を、横にみながら寝ている私の毎日は?

・大地震の時には持ちこたえてくれたけれども、あれから15年経って家も少々くたびれてきた?

・我が家から、広域避難場所までのルートは、地震の後も安全に逃げられる本当のルートなのか?

まっさらな目で、改めてご自身の生活やご自宅の姿を捉えてみる。

まずは、自らが罹災者にならないこと、加えて、家族や隣人をそうさせないこと。これは簡単なことではありませんが、今できることを重ねていって、少しでもその地点に近づけていくことが肝要です。