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擁壁 その2

平坦な土地にくらべて、傾斜している土地は、地震や水(大雨が原因)の影響を受けやすいでしょう。
“元々は傾斜地だったところに、擁壁を設けて土地を平らにして、その上に家を建てた” というような場合は、特に注意が必要です。

その1」で書きましたが、造成工事の際に切土をしたか、それとも盛土だったのかで、安全性のポテンシャルはずいぶんと違ってきます。
その敷地だけを見ていたのでは、元の地形を想像するのは難しいですね。少し離れてみて、敷地の回りの土地と自分の土地の位置や高低差を簡単な絵にしてみる。

斜面段々

段々のデッパリとヒッコミを相殺するように曲線(オレンジの線)を描いてみると、削ったかも、とか、盛ったかも、というのが おぼろげながら見えてきそうです。

あと、忘れてはいけないのは、段々を支えている擁壁がシッカリしているかどうかのチェックです。

一財)大阪建築防災センターのHPには、一般の方でも分かる(?)チェックシートがありますので、排水の状況や劣化度などを基にした「宅地の安全度」を確認できます。

http://www.okbc.or.jp/proof/takuchi.html

まず、お住まいの廻りの擁壁が、どんなタイプなのかを確認します。
擁壁色々
昭和30〜50年代に造成された当時の新興住宅地では、外側がブロック状になっている右上のものが多くみられます。いま一番問題になりそうなのは このタイプで、上のチェックシートはこのブロックタイプのチェックに適したものです。
近頃の宅地開発では、ほとんどが左上のようなタイプだと思います。図は逆T型タイプ、似たものとして逆Lタイプがあります。
左下は、コンクリートを現場で形成してつくる重量式。左上と外観は見分けがつきませんが、頂点のコンクリートの幅が広いかどうかで判断します。
右下は丸い大きな川石を積み上げてつくるタイプ。高さ1m程度の小規模なものは、昭和40年代くらいまではよく見られました。こちらのタイプも造成後にずいぶんと年月が経っているので、注意が必要です。
(図版は、国交省の”我が家の擁壁チェックシート(案”から引用しています。図中の着色した部分は擁壁本体の断面、それより左が外から見た姿になります)

チェックシートで、十分な安全性のチェックができるとは思えません。
現状に問題がないかどうかをチェックして、必要に応じて行政やデベロッパーあるいは専門家へご相談される、そんなキッカケのためのものだとお考えください。

高度経済成長の時期を境にして、無骨な擁壁が沢山つくられてきて、近年になってようやく環境配慮型というか景観を損なわない意匠の擁壁が増えてきました。
英語圏では、擁壁のことを、retaining wall と呼びますが、「擁壁」と「retaining wall」で画像検索したときに、でてくる画像の質の違いに、僕たちと西欧のみなさんとの景観への意識の違いを感じてしまうのでした。
お時間があったら、一度ためしてみてください!

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擁壁 その1

画像

 

 

たいていのお住いは、フラットな地面の上に建っていますね。

そして、その地面は、大昔から広い平地だったところもあれば、斜面を造成して人工的にフラットにしたところもあります。

「山の手」とか「山手」というような呼び方をされるところや、地名に山とか高とかの字が入っている地域は、傾斜地だった可能性が高いですね。

建物を建てるのに都合が良いので、(色々な長さの柱が要るようになったりするから、、)まず地面を平たくします。

平たくしようとしている地形が山だったり斜面の時は、上の3つの絵の一番上のように、元の斜面の上に、土を盛り上げて(これを盛土=モリドといいます)平たくする方法と、一番下のように、土を削って平たくする方法(これを切土=キリドといいます)、それらをミックスした方法があります。

絵を見ただけでも、上(盛土)より下(切土)の方が丈夫そうな感じがしますね。実際にもその見た感じの通りです。

上の方法で造成するなら、段差が1m以上で擁壁をつくらないといけないし、下の方法なら段差が2mまでなら擁壁はつくらなくていいのです。(もちろん、建物と斜面との関係などで、つくった方が良い場合もあります)

つまり、下(切土)は上(盛土)よりも、安全性が高いのです。

 

 

では、斜面を造成して、宅地にして販売しているデベロッパーの皆さんは、安全性の高い方法で造成しているのか??

たいていの場合はノーですね。

土を他から持ってきて盛り上げるよりも、削ってドコかに捨てに行く方が、ずっとお金がかかるからです。

経済性を考えれば(消費者に安価に土地を提供できるという側面の経済性もあります)もちろんのこと、収益性や造成工事のし易さを考えれば考えるほど、盛土になってしまう訳です。